虚偽の残存債務額に基づく債権回収行為を行った旨主張するが, 虚偽の債権残高を告知したとの根拠を具体的に主張・立証していない。
また,不法行為における故意又は過失の主張・立証もなされていない。
よって,控訴人の主張は,不法行為の成立要件を具体的に主張するものではないから,かかる請求は認められない。
第3 当裁判所の判断
1民法704粂後段は,悪意の不当利得者に対しては,利得の現存の有無を間わず,受けた利益に利息を付して返還すべきことを定軌 利得及び利息を返還 してもなお損失者に損害が填補されないで残る場合は,それを賠償しなければ ならないと定めている。
この規定は,契約関係に基づかずに損害賠償義務を定 める点で不払行為に基づく損害賠償に類するが,不法行為とは別個に,不当利 得制度を支える公平の原則に基づき,悪意の利得者に対する責任を加重した特 別の責任を定めた規定と解される。
ただし,この規定に基づき悪意の不当利得者が損失者に賠償すべき損害の範 囲につV、ては,債務不履行に基づく損害賠償の範囲を定めた民法416条が準 用されると解するのが相当であるから,責任原因たる不当利得と相当因果関係 に立つすべての損害が賠償の対象となる。
.被控訴人は,民法704条後段が想 定する損害は,利益の移転‘自体によって生じた利息以上の損害に限定され,利 得の返還請求のための弁護士費用はこれに含まれない旨主張するが,同条項の 文言からはかかる限定を付する趣旨は読み取れず,また,公平の観点からも, 不当利得と相当因果関係にある損害を損失者が被った場合は,利得につき憲意 の受益者に対してその挽害賠償義務を認めるのが相当であると解されるから, 被控訴人の上記主張には理由がない。
よって,控訴人の主張に理由があるか否かは,本件弁護士費用が,不当利得 と相当因果関係の範囲内にあるか否かによって決せられることとなる。
なお,不法行為に基づく損害賠償請求に関しては,弁護士費用が不払行為と相当因果 関係に立っ損啓と一般に認められているが,その理由は,不法行為にかかる訴 訟の性質上,−・・般人が弁護士に委任することなく十分な訴訟活動をなし得ない 点にあり(最高裁判所第一小法廷昭和44年2月27日判決・民兵23巻2号 441貰参照),不法行為以外の寮任原因に基づく損害賠償請求において,弁 護士費用を求めること自体が否定されると解すべきではない。
‘したが’って,本 件において,弁護士に委任しなければ十分な訴訟活動をなし得なかった と認めるに足る事情が認められるならば,事案の難易,認容された甜求額等の 事情を掛酌して,相当と認められる範囲の弁護士費用につき,不当利得と相当 因果関係に立つ損害として,その賠償を求めることができるというべきである。
2 かかる観点から本件過払金請求を検討するに,?本件は,被控訴人が開示し た範囲に限っても,、昭和63年4月2日から平成17年4月18日までの長期 間にわたる借入れと利息制限法所定の制限を超過する利息の支払を繰り返した 結果発生した過払金の返還を求める訴訟であること,?控訴人代理人が,本件 訴訟提起前から取引履歴の開示を被控訴人に求めたにもかかわらず,.被控訴人 が昭和63年4月2日以前の取引履歴を開示せず本件訴訟に至り,現在に至る までそれ以上の開示はなされていないこと(甲Cl,甲C7,乙Cl)がそれ ぞれ認められる。
以上によれば,亡 としては,弁護士である控訴人代理人に 委任するのでなければ,本件過払金返還請求訴訟を提起,遂行することは困難であったと認めるのが相当であり,その弁護士費用は,民法704条後段の「損害」該当するというべきである。
そして,事案の内容,過払金返還請求の上記認容額等を総合考慮すると′本 件不当利得と相当因果関係ある損害としての弁護士費用は,35万円が相当と 認められる。
控訴人が,控訴人主張のとおり上記損害賠償請求権を遺産分割により亡 か ら承継した事実は,控訴人が承継を証する文藩と.して当裁判所に提出した資料により明らかに認められ,当裁判所に顕著である。
3 以上によれば,過払金返還請求に関する弁護士費用及びこれを内容とする請 求拡張後の遅延損害金を求める控訴人の主任的請求には理由がある。
なお,主 位的請求を全部認容する以上,不法行為を理由とする予備的請求について判断 する必要はない。
よって,本件控訴には理由があるので,原判決を変更の上主文のとおり判決 す争。
第1 請求 被告らは,原告に対し,連帯して1200万円を支払え。
第2 事案の概要 1 争いのない事実等(証拠の摘示のない事実は,争いのない事実又は弁論の 全趣旨により認められる事実である。
) (1)ア原告は,下記の実用新案権(以下「本件実用新案権」という。
)に係 る考案(以下「本件考案」という。
)の考案者であり,原告の妻Cは,本 件実用新案権の実用新案権者であった(甲1,2,原告本人,弁論の全 趣旨)。
記 登録番号第1801587号 考案の名称空手用兼拳法用上衣 出願年月日昭和58年7月21日 出願番号実願昭58−113790号 登録日平成元年12月25日 実用新案登録請求の範囲 「上衣本体の両脇上部と両袖付とを正面略八字形に裁断し,かつ上衣本 体の八字状裁断部下側から両脇にわたる部位と,袖付下部とに夫々略三 角形のゆとり部をつくつて袖を縫着した空手用兼拳法用上衣。
」 イ本件実用新案権は,平成10年7月21日,存続期間の満了により消 滅し,同年10月14日,抹消登録がされた(甲1)。
(2)ア株式会社東京守礼堂(以下「東京守礼堂」という。
)は,昭和52年 4月7日に設立された,空手用品,古武道用品の製造販売等を目的とす る株式会社である。
イ被告株式会社東京堂インターナショナル(以下「被告会社」とい う。
)は,平成14年11月7日に設立された,空手用品,古武道用品 の製造販売等を目的とする株式会社である。
なお,被告会社の商号は, 設立当初は「株式会社東京守礼堂インターナショナル」であったが,平 成19年1月15日に現在の商号に変更された。
ウ被告B(以下「被告B」という。
時間外労働について
前示のとおり,品質管理課においては,時間通りの残業を申告できる状況にあったと認められ,そして,亡Aのタイムカードの打刻時間及び勤務台帳によれば,亡Aの大宮工場における時間外労働時間は別紙のとおりで6か月間の1か月当たりの平均合計時間外労働時間は平成8年4月11日から同年10月10日までについては約19.2時間,平成8年10月11日から平成9年4月10日までについては15.8時間,平成9年4月11日から同年10月10日までについては約11.6時間(同年10月11日から同年11月26日までの1か月半の残業時間は13.3時間)であったこと,また,亡Aは休日出勤をすることはあっても,その分の代休は取得していたことが認められる。 亡Aの時間外労働(ただし,Jとの勉強会及び自宅への持ち帰り作業を除く)については,以上のとおり,死亡前6か月の時期についても,1か月平均10時間から20時間ないしはこれを多少超える程度の時間であり,これに日研化学における1日当たりの所定労働時間が7時間20分又は7時間30分であり,所定休日が土曜日,日曜日及び国民の祝日であることを併せ考慮すると,亡Aは,一定程度の時間外労働を恒常的に行っていたが,その時間は長時間と評価できるほどのものではなく,かつ,亡Aには十分な休日が保障されていたから,亡Aの労働時間が,社会通念上,特に強度の心理的負荷を与える程度に至っていたとは認められない。
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